Araki Architects

(有)荒木毅建築事務所

北西外観

高低差のある18坪の三角形の敷地に、夫婦と３人の子供のための住宅を、地上２階・地下１階の３層の構成で作りました。
前面道路は地下１階の高さにあり、ここからコンクリートの外部階段を上がって１階の玄関に行きます。外壁は、平坦なセメント系のボードの上にシルバーメタリックの塗装を施し、切れ味の良い外観としました。

細長い土間

玄関を入ると、細長い土間が続いており、その右側に引戸が土間の奥行一杯につながっています。ここは子供室、土間のどこからでも入れます。突き当たり扉の先はサービスデッキとなっており、洗濯物干しなどに利用されます。

階段室

土間の一部に地下から２階までらせん階段が通っています。パンチングメタルで作られ、上部からの光が下に抜ける工夫がされています。
隣家と同時期に設計が出来たので、隣家の設計者と協力して、開口部の位置などを工夫しました。こちらの階段室にあるはめ殺しの大窓は、隣家の青い壁面に開いており、居住者の視線の交錯を回避しています。

子供室

土間に沿って、子供室が並んでいます。子供室と土間の間は、引戸であいまいに仕切られ、隣り合う子供室の間も引戸で仕切られています。カウンターテーブル、すのこベット、土間を隔ててクロゼットなどが作られました。

２階居間

階段を上がると、三角の敷地一杯に広がる居間があります。道路側に一杯に開いた窓からは、緑の多い俯瞰景が目に入ります。
仕上げは、床はラワン合板・天井は石膏ボードで、どちらも白系統の色で塗られています。壁はシナ合板で、柱同様、木の色をしています

太陽光（ダイニングから南方向を見る）

天井は南ほど高くなっています。「扇」の形をした建物平面の「要」の部分が真南に当たり、天井高も一番あるので、ここにハイサイドライトを設けました。東から昇り西に沈む太陽は、この窓を通して一日中部屋に光を届けます。
ダイニングテーブルはスチールとシナ合板で制作されました（写真の様に三角の板を入れることにより、左のカウンター収納と繋げて広く使うこともできますし、三角の板を外してテーブルの位置を変えることもできます）。

太陽光

ハイサイドライトからの光は、太陽とともに移動しながら、一日の変化を内部空間に記して行きます。
手前に見えている鴨居には可動引戸が設置されているので部屋を区切ることもできますし、写真の様に引戸を奥の収納に仕舞い込んで一室とする事もできます。
幅の細いルーバー窓は、僅かに開けておくだけで室内に風を通します。幅が狭いのでそのまま外出しても安心です。

キッチン

キッチンもステンレスとシナ合板で制作されました。奥の扉は２階のサービスバルコニーです。キッチンの前に着いている出窓は、隣家と隣家の隙間にあたる位置で反対側の道路まで見通せます。

キッチンよりデッキ方向を見る。

居間がそこまで広がっているかの様に、嵌め殺し窓を通して２畳より少し大きめのデッキが見えています。

屋根を支える木の柱が所々に立ち、白い勾配天井からは小さなペンダントがいくつもぶら下がり、人工の森の中の光景とも見えます。

デッキと居間のつながり。

建物の角に作られたデッキは、庭の無い都市住居にとっては貴重な外部空間となっています。

公園下の家

公園の麓の、高低差のある三角に近い形をした小規模の敷地にこの住宅は作られた。
平面形は、敷地の形状とほぼ同じ形をした三角に近い形状で、南側に行くほど狭くなっている。道路に沿った面を底辺とする片流れの屋根が掛かっており、南の角が最も高くなっている。
前面道路は地盤面より約2.5ｍ下にあり、ここに鉄筋コンクリート造の駐車場と地下居室（主寝室）が作られた。上部は木造軸組構造で、1階が個室（子供室）と浴室など、２階が居間・キッチンとなっている。
ここに住むのは、夫婦と３人の子供の５人家族。それぞれの個室を用意しながらも家族の為の空間を重視した。また、引戸を多用して、様々な活動に対応できる工夫とした。

内部空間／
東～南～西と巡る太陽からの光を、扇状の平面形状の要部分に位置する、天井の高い南面のハイサイドライトより無駄なく取り入れている。
北西側道路に横長に開いた窓からは、日の当たる景色を俯瞰できる。

隣棟間／
東側隣家との間の地面と外壁面を階段・玉砂利・植栽・プラットフォーム・反射する壁面などで構成し、お互いのフラットな開口部や突起した開口部を重ねたりずらしたりして配置する事により、隣棟間の空間を生かしている。