8坪ハウス/東京都 (previous page)住宅

最小限住宅

狭小変形敷地に建つ建築面積が8坪の家。この住宅の建つ下町の敷地は、前面道路も2~3mと狭い。

 

配置図

東京都墨田区の下町。空襲に合わずに済んだこの辺りは、家々が軒を接して建ち、前面道路も狭く、2~3mの幅(1mくらいのところもある)です。

 

建て主のSさん家族は以前からここにお住まいで、家が老朽化したために建て替える事にしました。前面道路が狭いので、建築基準法により4mまで拡幅しなくてはなりません。そのため元々広くは無い敷地が更に削られ、敷地面積は、40.32m2(12.34坪)になりました。

 

敷地境界から工事ができる最小限の離れを取り、敷地一杯の平面形として出来るだけの面積を確保しました。それでこの住宅は、敷地の形状と同じ「T字形」の平面となったのです。
この住宅の建築面積は8.29坪、延床面積(1・2階の合計)は16.07坪。この住宅をT形ハウスまたは8坪ハウスと名付けましょう。

8坪ハウス 配置図

敷地

T字形の敷地にオレンジ色お線で8坪ハウスの大きさを書込んでみました。

 

北側の道路より見ているので、グレーのスーツを着た方が立っている方が南ウィング、青い服の方が立っているのは北ウィング(の西側)です。北側手前にも敷地がつながっている様に見えますが、この部分は道路を4mに拡幅すると道路になってしまう部分です。
面積を出来るだけ確保するために、住宅は敷地形状のままのT字形のプランとなりました。

8坪ハウス 敷地

基礎配筋工事中(北西側より見る)

基礎配筋の作業中の現場です。
これも8坪ハウスの平面形状が良く分かる写真です。前の写真では青いトタンの貼られていた部分は、敷地境界にブロック塀を立て、上部を光の通るポリカーボネイトとして、近隣との調整を図りました。

8坪ハウス 基礎配筋工事中(北西側より見る)

北東側外観(部分)

完成後ですと、道路側からはこの住宅がT字形をしているようには見えず、大きな住宅であるかのように感じられます。
写真右下のサッシュが玄関で中は5.1畳の大きさの土間空間となっています。その上の小さなバルコニーには草花などの植木鉢が置かれます。
写真左下は個室の窓で、下町の細い道を介しての御近所との交流のために道路側1階に設けられた部屋のものです。

8坪ハウス 北東側外観(部分)

土間に入る

玄関引戸を開けて入ると5畳ほどの土間があり、ここから螺旋階段が2階に伸びています。3畳の大きさの吹抜けが1階と2階をつないでいます。何故、小さな家なのにこんなに大きな吹抜けが必要なのでしょうか。
最初のページを思い出して下さい。周囲の家がきっちりとこの家を取り囲んでしまい、南ウィングの2階ですら、南からの直射光を採入れるには工夫が要るほど、光が入り難い敷地なのです。
このため1階北側の居室にも直射光を採入れる工夫として吹抜けが設けられました(この写真では、左手奥の方から日が入ってますが、これは南側の建物と建物の隙間に狙いをつけて設けられたスリット窓よりの光なので、部屋を明るくするほどではありません)。

 

広い土間はいろいろと活用できます。8坪ハウスではお気に入りの自転車がここに置かれます。また、壁面には可動式の棚板が取り付けられ、見える収納として使われます。

 

手前左側は1階居室入口の引戸で、光の通る半透明のポリカーボネイト板が貼られています。吹抜けからの光はこの引戸を通過して居室の中にもさし込みます。ここは和室で、引戸を開けて土間と一体に使う事ができます。土間や和室は、御近所との交流の場として使われるかも知れません。

8坪ハウス 土間に入る

2階(吹抜け上部)

吹抜けの上部は他より天井が高くなり、南側に向いたハイサイドライトより、直射光がさし込みます。この光が1階にも届く訳です。
奥の個室は南側に向いた窓が設置されており光を確保していますが、写真のごとく目の前に隣家が迫っており、この敷地の採光条件の厳しさがわかります。この窓の外に洗濯物を干す事ができるようになっています。
吹抜けの左側の通路を手前に来ると、北ウィングが南ウィングと直角に、東西に細長い形状で建っています。

8坪ハウス 2階(吹抜け上部)

南ウイングより吹抜けを介して北ウイングを見る

そこだけ高くなったハイサイドライトよりの直射光が、北ウイングのDKにさし込んでいます。掃出し窓の外には小さいバルコニーがあり、植木などを置く事ができます。北ウィング東側(右側)はキッチンとなっています。

8坪ハウス 南ウイングより吹抜けを介して北ウイングを見る

北ウィング西側より見る

ダイニングより見たところ。ステンレスで製作されたスケルトンのキッチンが北ウィング東側突き当たりに設置されています(写真左)。北ウィングと直角に南ウィングがあり、吹抜けと引戸でつながる個室が見えています(写真右)。その上部にハイサイドライトが設置されています。部屋のところどころにあるスリット窓は通風のためのものです。

8坪ハウス 北ウィング西側より見る

1階水回り

南ウィング1階には、浴室・洗面・トイレなどがコンパクトに納められています。それぞれ、外気を採入れる窓が設置されているのが分かります。

8坪ハウス 1階水回り

断面図

図の左が南側、右が北側です。螺旋階段のある吹抜けの上部は勾配屋根が立ち上がり、高い位置に設置されたハイサイドライトより太陽光がそそぎます。
図の左側の薄いグレーの部分は隣家です。

8坪ハウス 断面図

模型写真

上空より眺めたところ。T形平面の中央付近に明り取りのための急勾配の屋根が突出している。敷地形状は複雑な形をしているが、建築自体はできるだけシンプルな形にまとめられているのが分かる。細いスリット窓が所々に見える。

8坪ハウス 模型写真

模型写真

正面に回ってきたところ。1階土間にも太陽光の落ちているのが分かる。

8坪ハウス 模型写真

設計概要

主要用途 : 専用住宅
設計・監理 : 荒木毅建築事務所
構造設計 : クレモナ建築構造研究所
構造・構法 : 木造軸組構法
敷地面積 : 40.82m2(12.34坪)
建築面積 : 27.39m2(8.29坪)
1階面積 : 27.39m2
2階面積 : 25.73m2
延床面積 : 53.12m2(16.07坪)

8坪ハウス 模型写真
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