t-cube (previous page)住宅

南西外観

最寄り駅から歩いて来ると、こんな感じでt-cubeが見えてきます。
”t-cube”は「チューブのような立方体」すなわち、tubic cubeと言う和製造語です(cubic tubeでも良かったんですけど、ちょっとニュアンスが違うかなと思いまして)。

 

3階建ての建物の中は、スクエアな印象の内部空間にしようと思ったのですが、それと同時に1~3階を上下する階段の四角い筒の形状も素直に現したいと考えたのです。居住する空間が四角い安定した立方体のような雰囲気だとすれば、それらの部屋を繋ぐ動線の空間も、筒のような(tubic)立方体(cube)になったら、”静止した立方体”と”動きのある立方体”によって空間につながりの感じられる家になると考えた訳です。

 

階段の屋根は、階段と同じ勾配ですから、CHシリーズの住宅のように、北勾配の屋根の場合には、南の太陽光線を奥に届ける効果があります。言葉では分かりにくいですが、上写真の西側外観(左側側面)を見て頂ければ、手前の勾配屋根は奥に行くに従って低くなり、階段の左奥(北側)に太陽光線を届ける事が出来る形だとお分かり頂けるでしょう。

t-cube 南西外観

道路側外観

南側正面から見ています。2階バルコニーが四角い箱状に一間(1.82m)の奥行き分突き出しており、その下が駐車場を兼ねたピロティとなっています。奥に3階のように見えているのは2階の吹抜けの立ち上がりです。

t-cube 道路側外観

南側外観(夜景)。

正面外観の夜景です。1・2階とも道路側(南側)は全て開口部(窓)とされています。
周囲を家々に囲まれた敷地で、唯一開放できる道路側には大きく開いたのですが、2階のバルコニーの奥行き分だけ2階にも1階にも庇が出来たのと同じ効果がありますので、夏の南や西からの日差しを遮りながら、冬の光は採入れる事ができます。
1階には半間幅の土間があり、その奥の明り障子との間に、外部と内部の媒介空間(緩衝帯)を作っています。この土間は玄関として使われますが、他にも、例えば植物を置くなどして、道行く人の目を楽しませる事もできそうです。明り障子にした事で、1階多目的室のプライバシーを守りながらも光を採入れる工夫としています。

t-cube 南側外観(夜景)

帯状の土間

土間の帯が内部と外部の緩衝帯になっている事が分かります。夏の日差しが適度にカットされている事も分かります。

t-cube 帯状の土間

1階内部

土間から内部に入り、階段のところまで来て振り返ったところです。障子の向こうが土間。
階段は、2階からの太陽光も1階に届けようと、細かな穴の空けられた段板としました。
左側の多目的室との境の建具は引戸としましたので、このように開放して使う事ができます。

t-cube 1階内部

多目的室

1階土間から直接入る事ができる多目的室です。外とつながる位置にありますから、障子を開けて土間やその外のピロティと一体に利用する事ができます。
和室的な空間として縁側のように使い、ご近所の方々と交流することも出来そうですし、例えばピロティでガレージセールをした際にこの部屋も一体に活用するなんて事もできそうです。
将来、二人のお子さんが大きくなって個室が必要となる一時期は、夫婦の寝室としても利用できる部屋でもあります。

t-cube 多目的室

階段部分詳細

階段はスチールのパンチングメタルを折り曲げて作られています。製作の際に、鉄工所にて原寸の図を書きながら相談した事を思い出します。階段が現場に搬入されてからは、木部との納まりなどこれも原寸で大工と相談しながらまとめました。

 

明り障子の縦格子と穴あきの段板がしっくりと馴染んでいる様に感じられます。障子紙を通った白い太陽光が、階段の細かな穴をも通過して綺麗に輝いています。

t-cube 階段部分詳細

階段

階段部分では、2階の壁はスチールの格子とされ、1階とのつながりを作り出しています。

t-cube 階段

2階居間

窓側から2階居間を見ています。床は栗のオイル仕上げ、壁や天井は塗装仕上げとされました。栗はわりと濃い色をしていますが、他の部分はこれとは対照的に白を基調に作られました。
左側の三角の穴の部分が先ほどの階段です。反対側、右側の木製の部分では、棚板と棚板の間にある木の壁が天井まで伸びていますが、この壁は3階建てを支える構造壁の役割も果たしています。この壁はシナ合板を少し白く塗装して作られました。
正面奥上部が3階個室で、将来の子供室です。手摺りの下に乳白色の部分がありますが、ここは本棚となっています。本の入っていない部分では光が通ります。この様に個室は、吹抜けを介して居間とつながっています。
個室の下がキッチンです。キッチンは一部分を目隠しにした対面式とされました。白い壁の裏側には冷蔵庫やコンロのフードが設置されています。
奥左側の明るい部分の外はサービスデッキです。ここが、最初の外観写真(西南方向)で見た、階段の屋根勾配を利用して太陽光を奥まで届けた部分です。サービスデッキには物干し竿も設置され、人目に付かない北側の奥にも関わらず洗濯物に太陽光が十分に当たります。

t-cube 2階居間

2階居間~デッキ方向(南方向)を見る。

居間の吹抜け上部にもハイサイドライトがあり、ここから直射光を採入れています。ハイサイドライトは3階の北側にも設置されており空気の流れれる工夫をしています。暑い夏の日はハイサイドライトより熱気を抜きながらの冷房、冬は床からの暖房、その他の中間期は窓を開けて風を通します。

t-cube 2階居間~デッキ方向(南方向)を見る。

居間-夕景

白熱灯のスポットライトやダウンライトの灯がやさしく室内を演出します。

t-cube 居間-夕景

デッキ~夕景

デッキの幅は一間(1.82m)、居間のフローリングがそのまま伸びたような、カナダ杉のスノコ貼りの床となっています。
細長いですが面積は6畳分ありますから、日向ぼっこ、夕涼みをするにも良い場所です。
上部にデッキと同じ奥行きの屋根が掛かっており、冬場の緩い日差しは屋内に採入れながら、夏場の強い日差しを遮断します。

t-cube デッキ~夕景

模型写真

南西上空より見る。

t-cube 模型写真

設計概要

”t-cube”は一言で言えば「チューブのようにつながる四角な空間」です。
スクエアな居住空間を大切にしながら、居室~デッキ~外部、多目的室~土間~外部、上階~チューブ~下階など、空間の流れやつながりも重視し、それらを形にまとめてみました。

 

t-cubeは、夫婦と二人の子供のための住宅です。三階建てとされ、延床面積は27坪です。
南側に4.5mの道路のある矩形の敷地に建っています。
1階には、外部との媒介空間である土間とつながった多目的室があり、駐車スペースを兼ねた外部土間とつながっています。
2階は居間とダイニングキッチンと水回りとなっており、南側にデッキが回っています。
居間は南に開いた背の高い空間で3階とつながっています。居間はまた、デッキと一体となり広がりを感じさせます。
階段はチューブ状の最小限の空間となり、北側のサービスデッキにも日の当たる工夫がされています。段板のパンチングメタルを通過した光は1階にも達します。

 

3階より吹抜けを見る。

2階居間とその先のデッキが見えています。左側の収納部分の棚板の間の天井まで伸びたシナ合板の壁は3つあり(写真では2つ)この建築の構造体ともなっています。

t-cube 3階より吹抜けを見る。

設計概要

 建築用途 専用住宅
 主体構造 木造軸組工法 地上3階
 敷地面積 80.01m2
 建築面積 44.78m2
 延床面積 90.75m2
 2006年7月

 
作品一覧へ戻る