Delta House/東京都 (previous page)共同住宅、宿泊施設

Δの敷地入口。

西南側(左側)は私鉄の線路となっており、頻繁に列車が通る。

Delta House Δの敷地入口。

三角のケーキ

敷地の西南側を電車が頻繁に走行している。南北方向に敷地を斜めに横断する幅8mの予定細街路を除いた敷地に、6メートルの高さの鉄筋コンクリートのフラットな立体を、建築可能な範囲に描いてみる(2階建てとしたのは、日影制限を緩和できるからである)。

 

これにより、建築全体は、隣地境界に沿った線と架空の道路(予定細街路)によって囲われた、2つに別れた尖った立体となる。6m(正確には6.15m)の高さで「三角のケーキ」みたいな形をしていると言い換えても良い。

Delta House 三角のケーキ

概要

計画地 : 東京都杉並区
主要用途 : 集合住宅(長屋)
構造・構法 : 鉄筋コンクリート造
敷地面積 : 931.72m2
規 模 : 734.45m2

 

この作品は、T.P.O ReCoMmendation 2006に提出されたものである。

T.P.O ReCoMmendation 2006

△-△=□?

この「三角のケーキ」の中に、「三角の穴」をいくつか開けてみる。この
穴が、全体の三角の形状を各戸別に見ると中和し、また、住宅部分に光や風を供給す
る装置となる。
穴の形は、円でも四角でも無く、三角が適切である。何故なら、三角の穴の取り方を
工夫すれば、全体が三角ケーキの形でも、個々の「住宅」では、三角の使いにくさを
克服できる(中和する)からである。

1階平面図

線路を挟んでΔを見る

 

Delta House 線路を挟んでΔを見る。

Δのエントランス上方より細街路方向(北方向)を見る

・予定細街路を竹林とする。
・屋上をタマリュウで緑化する。
・線路との境界フェンスにツタを這わせ緑のフェンスを作る。

これらにより、上空から見ると、かなりの部分が緑で覆われる事になる。
緑は日よけの役割をするとともに、植物から出る水蒸気が周囲の気化熱を奪うので、建物周辺の夏場の外気温を抑える効果がある。
水平面(屋上)は、断熱材と植栽により守られており、日射が最も大きい水平面(屋根面)からの熱負荷の影響を軽減する。緑のフェンスの設置により、電車音の遮音、西日の遮光また気化熱による涼風効果が期待される。

Delta House Δのエントランス上方より細街路方向(北方向)を見る

線路上空より見る

 

Delta House 線路上空より見る

緩衝帯

・「三角穴」は、光庭・中庭・吹抜け・・・等と言い換えることもできる性質を持っている。
この穴により、それぞれの住宅の居住空間に広がりが得られる。
また、ここは天空にしか抜けて居ないので、周囲の騒音から守られた外部空間となっている
・居室と外部の間に土間を設置した。これを利用して、日射による熱エネルギーを外に排出したり(夏場)、床に蓄熱して取り入れたり(冬場)することが可能である。
・線路との境界フェンスに植えられた植栽を通過した涼風を、土間を通して取り入れる事ができる(春・秋)。

Delta House 緩衝帯

住宅内部

全体として一室空間である。その中に、キッチン、収納、バッファーゾーン(WC、土間)が、それぞれ空間としてまとめられている。
・L-B(リビング-ベッドルーム);部屋を寝室と居間に明確に分ける事をしない。居住者の意志でカーテン等の簡易間仕切を利用して分けて使用する事もできるが、ベッドも居間のインテリアとして利用する事を基本としている。或いはソファーベッドを置いても良い。また、奥行きのある収納が設置してあるので、就寝の際に布団を敷いて休む事もできる。
・K;キッチンは、作業場の雑物を隠す事ができるように、居間の一部でありながらもローカウンターや引戸などで視線から一部守られている。
・C;収納を大きくする事で、生活の場にものがはみ出さずに広く使える工夫とした。

Delta House 住宅内部

Delta House

 

Delta House

 

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