Araki Architects

(有)荒木毅建築事務所

東側外観

東京都下の住宅地に建つ木造住宅。建物は東西に長い矩形敷地の北側と南側に、二棟が中庭をはさんで平行に配された二棟構成で、その間をガラスのブリッジとデッキが繋いでいます。
中庭には、ＦＲＰグレーチング製の大きな黒い引戸の門扉が設置されていますが、格子状の仕様なので、駐車スペースー庭ー隣家の庭と、東西に抜けている外部空間を感じる事ができます。
北棟の道路側１階には防犯を考慮してガラスブロックの開口があります。パーライトセメント板に白色系塗装仕上げの外壁が印象的な、プライバシーと防犯を考慮した開口部の少ない東側外観です。

中庭

庭に面して南北両棟が対峙し、その間をガラスのブリッジとカナダ杉板貼りの屋外デッキが結ぶ“つなぐ”部分です。
ブリッジの大きなガラス面と東西に真っ直ぐに通る庭を介して視線が抜けます。厚さ16ミリ高さ100ミリのスチール製フラットバーで構成されたデッキの下は駐車スペースとしても使用されます。北棟（右側）に繋がるブリッジの下が玄関となっています。

２階デッキより北棟を見る。

南側のデッキに開かれた掃き出し窓とその上のスチール製の庇。さらにその上部にハイサイドライトが見えます。
掃き出し窓上の庇は、夏の日射を遮り、雨の日も多少の出入りのできる工夫です。横長のハイサイドライトからの光は、天井面を照らし部屋を明るくします。

宙空ブリッジ

ブリッジの壁面は、面積約６?のスチール枠の嵌め殺し窓ともいえるガラス面で、厚さ８ミリのフロートガラスに飛散防止フィルムを貼っています。
視線を通すと共にガラス面に周囲の風景を映し出し様々な表情をみせます。
デッキとはスチールドアで繋がります。ブリッジの床は合板フローリング貼り、天井はEP塗装、屋根はガルバリウム鋼板。
南北両棟は、このブリッジとは別にデッキでもつながっており、回遊性のあるプランとなっています。

階段

北棟の階段室吹き抜け部分に設けられた明るいガラスブロック壁です。北側からの柔らかい反射光で曲線を描くスチール製のらせん階段が浮かび上がります。段板には厚さ25ミリのポプラ材を使用しました。

２階居間

生活の主舞台として機能する傾斜天井（2.1～3.7m）を持つ北棟２階のLDKです。ハイサイド窓・デッキに面した大開口部・ガラスのブリッジ・階段室のガラスブロックにより、施主が望んだ光で彩られた明るい居住空間となっています。
特に横長のハイサイド窓から射し込む光は天井面全体を優しく照らし出し快適さを増す効果を上げています。
床は合板フローリング貼り。壁と天井はEP塗装。

夜景

居間からの明りが、屋外デッキをほのかに照らします。夕涼みなどしたくなります。

南棟１階

螺旋階段の向こうはシャワーの装備された洗面室。離れの様な趣きです。

設計概要

東京都下の住宅地に建つ木造住宅。建物は東西に長い矩形敷地の北側と南側に、LDKと個室群から成る地下１階・地上２階の北棟と、和室と予備室から成る地上２階の南棟が庭をはさんで平行に配された二棟構成で、その間をガラスのブリッジとデッキが繋いでいる。

二棟配置は「プライバシーと防犯を考慮しつつできるだけ明るい空間がほしい」という施主の要望に沿ったためである。結果としてこの建物では三つの“つなぐ”がキーワードとなった。一つは屋内で結びつけるガラスのブリッジ。二つは縦横に走る屋外デッキ。三つは緑を介して視界を広げる庭。特に建物を最も特徴づける幅1m長さ3.5m高さ2.3mの総ガラス張りブリッジは屋内通路として機能し、両棟間を不自由なくかつ外部の風景を楽しみながら行き来できる場となっている。

また、フラットバーを井桁状に組んだごく薄い形状の上に板材を載せた屋外デッキは、北棟のLDKと南棟の和室を結びかつ様々な活動を可能にする憩いの場となっている。さらに、敷地の東西を貫通し南側に広がるＬ字型の庭は緩衝地帯となっているだけでなく、前面道路から隣家の庭を隔てた道路まで視線が抜ける心地よい場となっている。

内部においては、特にLDKでは大きな掃出し窓やトップライトや傾斜天井の特徴を活かしたハイサイド窓などによって、様々な角度からの太陽光採り入れの工夫がなされ、明るく快適な空間を造り出している

設計概要

　主要用途 ： 専用住宅
　設計監理 ： 荒木毅建築事務所
　構造・構法 ： 木造一部鉄筋コンクリート造
　敷地面積 ： 132.25m2（40.00坪）
　建築面積 ： 50.40m2（15.25坪）
　地階面積 ： 23.18m2
　１階面積 ： 47.67m2
　２階面積 ： 50.40m2
　延床面積 ： 121.25m2（36.68坪）